SNOWBOARDING
INTELLIGENCE

 フリースタイルボードはアルペンボードと比較するとフレックスが柔らかく、レングスが短く、幅が広くなります。

スノーボード

 アルペンボードはフリースタイルボードと比較するとフレックスが硬く、レングスが長く、幅が狭くなります。

スノーボード

  1. ノーズ
  2. スノーボードの前側です。ターンの際はノーズで角付けを行います。

  3. テール
  4. スノーボードの後ろ側です。ターンの際はテールからエッジを乗り換えます。

  5. デッキ
  6. スノーボードの表です。バインディングを取り付けるためのインサートホールがあります。

  7. ソール
  8. スノーボードの裏側です。滑走面になるスノーボードの中でも最も重要な部分です。製品により素材に大きな違いが出ます。ハイエンドな製品はグラファイトなどワックスの浸透しやすい素材を採用しています。デッキと違い、酸化して素材が変質することもあるため、日ごろからワックスをかけるなどのメンテナンスが必要です。

  9. エッジ
  10. スノーボードのソール側面に付けられる金属製の縁です。スチールが一般的ですが錆びにくいステンレスを採用する製品もあります。初心者向けの製品にはビベルと呼ばれる微妙な角度がついているものもあります。

  • レングス(長さ)
  •  スノーボードは長くなるとスピードが増し、短くなるとフレキシブルな操作性が期待できます。初心者は短めのボードに乗るのが無難です。また、ボーダーの体重により最適な長さは異なります。特に標準体重より軽いボーダーは短めのボードが良いかもしれません。

  • フレックス(柔らかさ)
  •  数値ではなかなか表現できませんが、柔らかい板は操作がしやすい反面安定感がなく、硬いボードは操作が難しい反面安定します。ボーダーが硬いボードを装着した場合、体全体が硬くなったような感覚になります。また、柔らかいボードで滑走するとボードが暴れ、落ち着いた滑走ができなくなります。通常、スノーボード全体が同じフレックスであることはなく、バインディングをセットする位置とノーズまたはテールからチップにかけてのフレックスは異なります。ターンの際ボードをたわませるバインディングをセットする位置のフレックスは特に「トーション」と呼ばれます。

  • ウエイト(軽さ)
  •  軽いボードは操作がしやすくなります。ターンで体を引っ張られることも少なく、リフトやハイクアップも楽になります。一般的に軽量なボードはハイコストです。また、ボードが薄いので折れやすくなるという欠点もあります。コストの面で余裕があれば軽量なボードのほうが有利になります。

ディレクショナル

 「一方向」を意味するディレクショナルシェイプはその名の通り、テールとノーズで長さや形状が違うボードのことを指します。一般的にはノーズのほうがテールより長くなります。また、それに合わせてボードのインサートホールもテール寄りにややずれていることもあります。これをセットバックと呼び、ボードの重心に対してやや後方にバインディングをセッティングする仕様になります。テール側が短いことによりターン時にテールをスライドさせる際、エッジが引っかかることは少なくなります。また、パウダースノーでボードがノーズから沈んでいくことを防げます。欠点としては前後の重さが異なるためスピントリックの際の回転性が低下し、フェイキーランもメインスタンスとのギャップが大きくなります。主にライディングを主体としたスノーボーディングをする人や、バックカントリー、初心者などの幅広いスノーボーダーに向いているボードと言えます。

ツインチップ

 ツインチップは最もフリースタイラーらしいボードです。ノーズとテールの長さと幅は等しく、ボードの重心がスタンスの真ん中にくるようになっています。スピントリックで板が回しやすく、フェイキーランにも最適です。デメリットとしては本来角付けの役割を果たすノーズと同じ長さと幅のテールは時としてボードをスライドさせるスピードに追い付かず、雪面に引っかかります。また、ターンの後半でエッジが切れ過ぎてターンのきっかけを失う場合もあります。

テーパーノーズ

 「ノーズから細くなっていく」テーパーノーズはパウダースノーでのパフォーマンスにフォーカスしたボードです。長さも幅もノーズのほうが大きくなります。その理由はもちろんノーズから雪の中に沈んでいくことを防ぐことにあります。人工のスノーエリアでは物足りないコアなスノーボーダー向けのボードです。

アウトライン

 スノーボードのアウトライン(外形)は様々ですが、機能に直結するのは主にサイドカーブ(サイドカット)とウエストです。この二つはお互いに影響する関係にあります。サイドカーブとはボード側面の曲がり具合を指し、それをボードに施すための加工がサイドカットで、スノーボードの仕様を語る際はほぼ同じ意味でつかわれます。このサイドカットがあることでスノーボードには全体の幅とサイドカットが最も深い部分の幅に差が生まれます。これがウエストです。
 スノーボードのスペックを見る場合、ウエストはウエスト幅、サイドカットはサイドカーブを円の外周とした場合の半径とカットの深さ(テール/ノーズ幅とウエスト幅の差)でみます。ウエスト幅を同じにしてサイドカットが大きい場合はカーブの半径が大きいことを意味し、必然的にカットの深さが浅くなります。逆に小さければカーブの半径は小さく、サイドカットは深くなります。また、サイドカーブが同じ半径でウエスト幅が大きい場合はボード全体の幅が大きくなり、ウエスト幅が同じでサイドカーブが大きい場合はボード全体の幅が小さくなります。
 サイドカットがもたらすライディングへの影響はサイドカーブが描くターンの弧にあります。サイドカーブが大きい場合、ターン弧は大きくなり小さければ小さくなります。また、ウエストがあることでボードの中心と先端部分(チップ)にフレックスの差が生まれます。細い中心部分は柔らかくなり、太いチップ付近に行くほど硬くなります。この硬軟の差がターンの際のボードの”たわみ”を可能にしています。
 サイドカットが深く、チップとウエストの幅の差が大きいことはエッジングにおいてチップからウエストまでにかかる重力がより不均等になることを意味します。このためサイドカーブが小さい板はエッジングが簡単ですが不安定でそのグリップ力は弱くなります。その逆にサイドカットが浅く、チップとウエストの幅の差が小さいことはターンにおいてチップからウエストまでのフレックスの差が小さく、ボードを”たわませる”ことがより難しくなることを意味します。サイドカーブが大きければエッジングのグリップ力が増す代わりに操作性は低下し、小さければ操作性は向上する代わりにグリップ力は低下します。
 ボード全体の幅が大きい場合はパウダーでの浮力、ボードをフラットにした際の推進力、オーリーの際の反発力、着地の際の衝撃吸収力、ターンの際の重力への耐久力が高まります。半面、フレックスは硬くなりウエイトも重くなることで操作性は低下します。
 傾向としてパワフルなライディングを好むボーダーにはよりサイドカーブとウエストを大きくしたものが向いています。これらの持つデメリットはボーダーの脚の筋力により克服が可能だからです。

キャンバー

 キャンバーはデッキに向かって凸型にボードを曲げる加工です。これによりボードに「跳び箱の踏切台」のような能力を与えます。キャンバーのついたボードはターン時の抜重やオーリーの際、ボーダーにボードが反発するまでの間と跳躍力を与えます。このためフラットなボードと比べてボーダーは効率的に筋力を使ってジャンプやターンをすることができるのです。キャンバーのデメリットは接雪面が少なくなることにより推進力が低下することと、ボードがボーダーの動きにに即応せず、反応が遅れる場合があることです。ボーダーがボードのセンターに正しく体重をかけられればこのデメリットは最小限に抑えられます。
 シングルの場合、キャンバーは前後のバインディングでで端を抑え込むように作られます。ダブルの場合、キャンバーは前後のバインディングそれぞれの下になるように作られます。シングルキャンバーと比較してダブルキャンバーのメリットはキャンバーが足元にあることでより体重をかけやすくなること。デメリットは両足それぞれにキャンバーがあるためにバランスをとることが難しくなることです。

ロッカー

 ロッカーはソールに向かってボードを湾曲させる加工です。これによりボードはターンの際、ターン弧の外側に働く重力(慣性)に耐える剛性を持ち、ターン後半の切れ上がりに力を与えます。また、湾曲したソールはパウダースノーでノーズが刺さりにくくなります。このほかロッカーはフラットなボードと比較してライディング時の急な斜度の変化やハーフパイプのドロップイン、キッカーのアールに対して滑らかに対応することができます。ロッカーのデメリットは接雪面が少なくなることにより推進力が低下することと、フラットランの安定性が低下することです。特にハーフパイプやキッカーのヴァーティカルでは影響が出ます。ボーダーがボードのセンターに正しく体重をかけられればこのデメリットは最小限に抑えられます。

コンベックス

 コンベックスはソールもしくはボード全体をソール方向に凸型加工することです。ロッカーがボードを側面から見て凸型にするのに対し、正面から見て凸型にします。ソールのみの場合はボードのサイドエッジ側から中心線に向かうにしたがってソールに厚みを持たせます。ボード全体をコンベックスにする場合は板自体を湾曲させます。これによりフラットランの際のエッジの引っかかりが少なくなり、エッジの切り替えしが滑らかになります。また、ボードの中心線に沿って剛性が生まれます。デメリットはロッカーと同様に接雪面が少なくなることによる推進力の低下と、安定性の低下です。