フリースタイルのバインディングは主に樹脂を多用して軽量かつフレキシブルに作られています。ほとんどのモデルにハイバックが付けられています。フリースタイルはソフトブーツの弱点を補うため、より足にフィットするようにデザインされています。
- アンクルストラップ
アンクル(くるぶし)部分を固定するストラップです。
- トゥストラップ
つま先部分を固定するストラップです。
- ハイバック
ふくらはぎ周りを固定します。バックサイドのエッジングをサポートするためにあります。フォワードリーンにより深く倒すことが可能です。
- ヒールカップ
踵を固定します。
- ガスペダル
つま先の指を固定します。フロントサイドのエッジングをサポートするためにあります。製品によってはベースプレートと一体になっています。
- ベースプレート
ブーツのソールとスノーボードのデッキが接する部分です。足の裏の微妙な動きでコントロールできるように複雑な成型のしてある製品もあります。
アルペンのバインディングは主にアルミなどの金属を多用してレスポンシブルに作られています。基本的にブーツをボードと接続するための最低限の機能しかなく、スノーボーダーとのフィッティングはハードブーツに依存します。
- ベイル
ハードブーツのつま先とかかとを固定します。
- ベースプレート
ハードブーツのソールを載せる部分です。基本的にハードブーツのつま先とかかとの部分だけを載せ、土踏まずのあたりは浮かせます。これによりエッジングの際にブーツが雪と接触するのを防ぎます。
- フレックス(柔らかさ)
主にハイバックのフレックスです。硬いとエッジの切り替えしの反応が良くなる半面、反応が良すぎてエッジの引っかかりや逆エッジのリスクが高まります。柔らかいとフレキシブルな操作が可能になります。
- ウェイト(軽さ)
バインディングはボードに装着するため、バインディングが軽ければボードも軽くなります。ボードをだけを軽くしてもバインディングが軽くなければ軽量化の効果は半減します。また、軽量で耐久性の低いボードに重いバインディングを装着すると板が折れやすくなる要因にもなります。軽量化されたバインディングはボード同様、耐久性が低くハイコストです。

バインディングをスノーボードに装着する際、ボーダーは左右どちらの足を前足、後足にするのか決めなければなりません。左足が前ならレギュラースタンスと呼び、右足が前ならグーフィースタンスと呼びます。これらはボーダーの利き足と軸足で決まります。スノーボードはターンの際に前足でバランスをとり、後ろ足でボードをスライドさせるため軸足を前足、利き足を後ろ足にするのが普通です。このため、右足が利き足、左足が軸足なら左足が前、右足が後足になります。これがレギュラースタンスです。グーフィーはこの逆で右足が前足で左足が後足になります。
利き足は生来のものなのでどちらを選択するのはボーダー次第です。地面に転がっているものを蹴るとき、蹴ったほうの足が利き足であり体を支えているほうの足が軸足になります。

アングルはスノーボードに対するバインディングの装着角度です。ボードに対し垂直な角度を0°として傾きを設定します。通常は前足側をノーズ側に向かって深いアングルにし、後足はこれより浅いアングルにします。アングルを深くするほどカービングに適していますが、エッジに乗って板にパワーを伝えるのは難しくなります。アングルが浅いと足首を利用してエッジングをすることができるためエッジワークがレスポンシブになる反面、これに頼り過ぎるとカービングのダイナミックさが失われます。前後のアングルの差が小さいほど膝を近づけた内股スタイルになり、大きいほど膝を広げたがに股スタイルになります。最適なアングルはボーダー次第ですが、目安の角度はフリーライディング重視で前足21°~12°程度、後足が9°から0°程度、カービング重視で前足30°~24°、後足15°前後です。
スタンス幅は両足のバインディングの装着位置の幅でボーダーの肩幅よりやや広いくらいが目安です。

ダックスタンスは通常、ノーズ側に向かって傾ける後足のアングルをテール側に傾けることです。これにより「八の字」型のスタンスになります。メリットはフェイキーランの際、アングルが逆になることによって滑りにくくなるのを低下させることです。また、スノーボードのセンターポジションをとりやすくなり、着地の際やエッジに乗った際の安定感も増します。デメリットとしては内股スタイルで滑りづらくなります。アングルはマイナスで表記し、-9°~18°程度、フェイキーランのためやや大きめに取ります。

セットバックはバインディングをスノーボードの中心からテール側にずらして装着することです。ボードによってはインサートホールが初めからテール寄りにセットバックされている仕様のものがあります。セットバックのメリットはテールの長さが相対的に短くなることにより、テールのエッジの引っかかりが少なくなることとノーズが長くなることによりパウダーでノーズが刺さることを防ぐことにあります。また、前足が板の中心に近づくため、前足で板を踏むことをより意識すればボードの中心に体重をかけることができます。バインディングがセンターポジションにある場合、板の中心に体重をかけるには両足に等しく体重をかけなければなりません。これは意外と難しく、前足のみに体重をかけるのを意識することのほうがむしろ簡単なのです。
セットバックはこのため、フェイキーランがやや滑りずらくなります。主にカービングを主体とするボーダーや初心者に向いているセッティングです。ターンの際、センターポジションでのエッジの引っかかりが気になる場合などに試してみるとよいでしょう。

アキレス腱をカバーするハイバックはバックサイドでのエッジングをサポートするためにあります。膝の曲げ角度でエッジングの角度を調節できるフロントサイドと違い、バックサイドでより深いエッジングをしたければフォワードリーンを入れます。これはハイバックを前傾に固定することによりヒールエッジへのレスポンスを高めるものです。また、フォワードリーンはバインディングとブーツのドラグ(浮き)を軽減し、フィット感を高めます。バインディングの多くはヒールカップの大きさを調整することができないので、フォワードリーンで補うのです。フォワードリーンを入れるとより膝を曲げた状態でないとボードをフラットにすることができません。ヒールサイドでのレスポンスの良さは時として障害になります。自分のスタイルに合わせた角度を選びましょう。
フォワードリーンはハイバックについているアジャスターをずらすことで設定します。アジャスターがヒールカップとの接触面を支えて、ハイバックの角度を維持します。

バックサイドのエッジングをサポートするハイバックはバインディングのアングルが深くなるほど、エッジとのギャップが生まれます。このエッジとのギャップをなくし、エッジと平行にハイバックをそろえるのがハイバックローテーションです。